先生、電子配置って何でこんなに複雑なんですか~?
分かってしまえばそんなに複雑ではありませんよ。
それでは今日は電子配置をマスターしていきましょう!
電子配置
電子殻とは
原子内では原子核の周りを原子番号と同じ数の電子が高速で回転しています。
確か前回そんな話がありましたね!
電子たちは闇雲に動くのではなく、いくつかの軌道に分かれて運動しています。
内側から順にK殻, L殻, M殻と呼ばれています。
Kからのアルファベット順ですね。
そうです!それぞれの電子殻に入る電子の数は決まっています!
内側から番目の電子殻に入る電子の数はで表される。
つまりK殻から順番に電子は2個、8個、18個と殻に入っていくんですね!
電子配置とは
電子は通常、内側の殻から順に収容されていきます。その電子がどの軌道、電子殻にいるのか、状態を表したものが電子配置です。
電子配置って覚えるの大変なんですよねぇ。
最終的には覚えてしまうかもしれませんが、最初はゆっくり考えていけば分かりますよ。
どう考えれば、いいんですか?
まず、前提として、原子の電子の数は原子番号と同じになります。
陽子の数と電子の数は原子番号と同じですもんね!
イオンになると電子の数は変わりますが、原子の状態では一緒です。
ではまずは酸素の電子配置から考えていきましょう!
酸素の電子の数は何個でしたか?
原子番号8番なので8個ですね!
その通りです、原子番号が分からない場合はそちらも復習しておきましょうね。
では、電子は電子殻の内側から収容されていくと考えると、何殻に何個の電子が収容されるでしょうか?
内側からなので、K殻に2個、そしてL殻に6個ですね!
その通り!これで酸素の電子配置は終了です!
確かに、電子の数と電子殻の収容数が分かれば簡単に考えられますね!
そうでしょ?実は原子番号18番まではこの知識だけで考えることができます!
え?19番以降はこれだけじゃだめなんですか?
閉殻とは
まず、原子番号19番以降の話をする前に閉殻について話をしましょう。
主に18族の元素が閉殻となる。
例えば、Heは最外電子殻(一番外側の電子殻)のK殻が最大の2個、Neは最外電子殻のL殻に最大の8個が収容されているので、閉殻になるんですね。
その通りです!閉殻になる原子は安定した状態になりますので、イオンになりにくく、結合もしない単原子分子になります。
なるほど、閉殻の定義はなんとなく分かりました!
ですが、何でそれが原子番号19番以降の電子配置と関係するんですか?
ここからは少し先の話につながるのですが、電子たちは電子殻内で対を作って存在します。
確かに電子殻は偶数個で全部で満杯になりますもんね。
そうです!実は3番目の殻、M殻も電子が8個収容された状態は4組の電子対ができて安定した状態に入ります。(オクテットという状態)
この状態は閉殻と同じようなもので、この状態の時にはM殻が安定しているため、19番目の電子はM殻の次の電子殻であるN殻に入るようになります。
カリウムとカルシウムの電子配置
つまり、原子番号19番のカリウムは電子が19個
電子配置はK殻に2個、L殻に8個、M殻に8個が収容されて、M殻は閉殻状態なので、残り1個はN殻に入る!ということですね!
正解です!ちなみに原子番号20番のカルシウムの20番目の電子もN殻に電子が収容されますよ!
つまり19個目以降の電子たちはN殻に収容されていくんですね!
残念、実はそれは少し違います!確かに20個目の電子はN殻に収容されますが、21番目から30番目間での電子はさきほど入れなかったM殻の空いたスペースに格納されていきます。
え?なんでさっきまでは入れなかったM殻に入れるようになったんですか?
21個目から30個目までの電子の配置(上級者向け)
エネルギー準位
実はこの現象の原因はエネルギーにあるんです。電子は内側の電子殻に収容される方が原則、エネルギーが少ない状態で収容されます。
例えて言うなら、内側の方が少ない家賃(エネルギー)で住むことができるような状態です。
基本的にはみんな家賃が少ない場所に住もうとするから、内側に収容されるんですね。
そういうことですね!さらに、K殻から徐々にグレードの高いマンションになっていくと想像してみましょう。
原子番号18番のアルゴンまでは順当に内側の電子殻に格納されていきますが、原子番号19番のカリウムは気づいてしまうのです。
「M殻マンションの9階(M殻の9個目)よりグレードの高いN殻マンションの1階の方が良くね?」と
普通のマンションの高い階よりもグレードの高いマンションの1階の方が家賃が安かったりしますもんね。
それと同じで、M殻の9番目の電子になるよりもN殻の1番目の電子の方が必要なエネルギーが少ないので、19個目の電子は通常N殻に収納されるのです。
それなら21番目の電子は「M殻の9番目の電子」になるか「N殻の3番目の電子」になるかをエネルギー的に比べて「M殻に入るかぁ」と決めたんですね!
輝線スペクトル
「電子は通常エネルギー準位の低い内側の電子殻に入る」と説明しましたが、実は原子に熱や電気などのエネルギーを与えると電子が外側の電子殻に移動する減少が起こります。
収入が入って、いいところに引っ越したんですね。
しかし、すぐに元の電子殻に戻るために光(エネルギー)を放出しながら、内側に戻っていきます。
手元に大金が舞い込んで、舞い上がった一発屋芸人の末路みたいで、少し悲しいですね。
悲しい言い方ですね(笑)この時に生じた光を輝線スペクトルといいます。この現象が発見されたため、電子殻の存在も明らかになりました。
最外殻電子と価電子の違い
最外殻電子
最後に用語の確認です。
最外殻電子は一番外側の電子殻に含まれる電子のことです。原子番号1から20までの元素は基本的には最外殻電子の数は周期表の族の下一桁と一致します。(Heのみ18族だが2個)
電子配置がきちんと書けるのなら、覚えてなくても考えたら分かりますね!
価電子
価電子とは原子同士が結合の際に何かしらで重要な電子たちです。こちらも通常は最外殻電子の数と同じなのですが、18族の貴ガスのみ0個となります。
貴ガスは閉殻になると原子同士の結合が起こりにくくなるって話でしたもんね。
よく覚えていましたね。今日は難しい内容も多かったので、必ず復習を忘れないようにね!